中編:〜芸人へなるきっかけのエピソードから、サッカー大好き芸人としてJリーグを盛り上げる活動に迫る〜
「『サッカー+お笑い』で盛り上げることが僕の使命だと思っていますね。」
ーー前編のあらすじ
いわゆる“転勤族”だったワッキーさん。中学校3年生で船橋に帰ってきてからは市の選抜に選ばれるように。その選抜で布啓一郎さん(当時の市立船橋高校サッカー部監督)の目に留まったワッキーさんは「俺と一緒にサッカー3年間やらないか」と優しく勧誘されて、騙されたとのこと。想像出来ないほど厳しい練習を乗り越え、3年時には全国高校サッカー選手権で、名門清水商業高校と対戦。負けはしたが、後に日本代表の10番を背負う名波浩さんをマンマークで封印。新聞に載るほど高い評価を得た。その後、専修大学サッカー部に進むが、「ジャンパー膝」という怪我に悩まされ、1年でサッカーから離れることに。バイトをするなどして過ごしていたが、ある日をきっかけに芸人の道へ進むことになったと言う裏側にはどんな物語が隠されているのか。中編をご覧ください。
ーー確か、ヒデさんに誘われて芸人になったんですよね?
ワッキー氏(以下、ワッキー):そうそう。サッカー部を辞めてから、2年半くらいサッカー部のチームメイトとも連絡せずにずっとバイトしてたんです。
そんな時、たまたまサッカー部の寮に行く機会がありました。久々に寮に行って、たくさん部屋がある中で何気なくドアを開けた最初の部屋に1人でヒデさんがいたんですよ。
パッと目が合って、怖い先輩ではなかったのですがそのままドアを閉めました(笑)。
「おい、ちょっと待て。トイレに来い」って言われて、絶対殴られると思ったら、一言目に「俺と一緒にお笑いやらないか?」って言われました。
ーーそんな状況だったのですね(笑)。ワッキーさんは何て答えたんですか?
ワッキー:いきなり過ぎて動揺してました。
「え、どういうこと?」って聞いたら、ヒデさんに「実はお笑いやりたくて、ネタみたいなのを書いているんだよ」と言われました。同期を誘ったけど、就職とかで断られて、そんな時に丁度よく僕が現れたみたいです。
僕も一旦ちょっと考えて、2、3日後くらいに声をかけてやることになりました。
ーー「一緒にお笑いをやろう」と言われた時はどういう心境だったんですか?
ワッキー:タイミングが良すぎましたね。元々、芸能界にはすごく興味がありました。
高校の納会で、「サッカー選手」「オーストリアに住んでいる」「芸能界で活躍している」の3つの中でどれかを将来やっていると宣言するくらい、実は小さい頃から芸能界に憧れがありましたね。
僕がバイトしてる2年半の間で、いわゆる社会勉強というか、色んなことをできたり、知ってる方が芸能人になったりというのを通して面白みのある人間になれるんじゃないかと思っていました。
でも、その焦点は絞りきれず、モヤモヤしている時に専修大学の寮に行ってヒデさんに誘われたんです。
それが僕が芸人になるまでの道のりですね。
ーーサッカー大好き芸人のワッキーさんは、Jリーグの試合は欠かさず観られるんですか?
ワッキー:結構見てますよ。2017年から2019年の間はJ1リーグの全306試合をフルで見てたこともありました。
でも、2020年、2021年は、僕がガンを患って入院していたので、フルでは見れなかったけど、毎節3試合くらいは見ていました。戦評をつけながらね。でも、やっぱり2017年〜2019年の時は異常だった(笑)。
ーー3年間全試合は凄すぎますね(笑)。それは、ワッキーさんが純粋にJリーグが好きだからですか?
ワッキー:そうですね。元々、海外の各国リーグも含めた中でJリーグが1番好きでした。
2015年までは、試合をがっつり観て選手の名前を覚えるみたいな見方はせず、TVなどでチラッと流す感じで見ていました。
だけど、2016年にBSのサッカー番組の「デイリーサッカーユース Foot!」へのレギュラー出演が決まったんです。毎週火曜日に解説者の方とJリーグとブンデスリーガについて語るというコーナーが始まったのですが、その頃は選手の名前すら覚えていなかったんですよね。
そして2017年に、平ちゃん(平畠啓史)とJリーグのみを解説するコーナーがあった時に、試合について知識量豊富な平ちゃんと対等に語り合うには、J1リーグだけでも全試合フルで観るしかないなって思いましたね。
ーーなるほど。そういう経緯で見始めたんですね。
ワッキー:うん、でも平ちゃんとのコンビは2017年で終わってしまったんだよね。でも、これが不思議と(番組が終わっても)見ちゃうんですよ。
連ドラと同じで、全試合フルで観ちゃうと次の年も気になって止まらなくなっちゃうんです。
2018年からは、仕事ではなく、完全に趣味としてJリーグの試合を見始めましたね。
趣味で306試合全て観るなんてやばいでしょ?(笑)。
ーーすごいですね(笑)。スケジュール的にはどんな感じだったんですか?
ワッキー:もうサッカーばかり観てたね。1年の試合時間を丸々計算すると、20日間あるんだよね。
でも、家であまり見すぎると怒られるから、奥さんに仕事行くって嘘ついて、ネットカフェで観てました(笑)。
ーーそうなんですね(笑)。試合は土日が多いと思うんですけど、次の週の何曜日には見終わっているんですか?
ワッキー:木曜日くらいには全9試合を見終わって、今節の注目のプレーやベストイレブンだとかを「ワッキーチョイス」ていう形でTwitterにアップしていましたね。
趣味ですが、ルーティンワークになっていました。
ーーすごいですね。全部見てからじゃないとわからない次の試合の楽しみって何かありますよね。
ワッキー:そう、数字だけ見てもわからない試合の雰囲気や選手一人一人のプレーとかも全部見れるっていうのは嬉しいよね。
それこそ、試合を見て選手のプレーやプレー以外でおもしろいことが起きていたら、それをチョイスして「ワッキーチョイスオモロー」っていうタイトルでTwitterにアップしてました。
いつ起きたかもわかるように前半何分とかの表記も入れて、誰かに頼まれたわけでもないのに勝手にやっていましたね(笑)。
でも、そのバックボーンには芸人目線でJリーグを盛り上げようっていう強い想いがありました。『Jリーグってこんなに面白いんだよ』というのを伝えかったんです。
日本人でサッカーをやっていたなら、海外リーグもいいけど、日本最高峰のJリーグを見なくちゃいけないと思うんだよね。
ーーワッキーさんの考える、海外リーグに劣らないJリーグの魅力ってどんなものが挙げられますか?
ワッキー:すみません、正直言うと、何が優っているのか、何が劣っているかはプロじゃないのでわからないですね。
でも、強いて挙げるとするならば、感情移入がしやすいところですね。
例えば、どこかの高校やユース出身、誰かの兄弟や子どもだったり、選手の一人一人の繋がりを知れたりするのも1つの楽しみ方だと思います。
海外リーグでは、この選手のプレーがすごい、上手いと表面上のことしか知らないから、その選手の人間性はわからないですよね。そこの繋がりの部分はJリーグが優っている部分ではあると思います。
ーー確かにその見方もおもしろいですね。やっぱり、心のどこかに日本サッカーに対する熱い想いがありますか?
ワッキー:もちろんあります。サッカーをやっていたら、一度は夢見たことがある『日本代表で出て、ワールドカップを優勝する』という目標を僕は叶えることができなかった。その夢を(今の)代表に託して、叶えてくれるっていうのがサッカーというカテゴリーの中の1番の夢だよね。
そのためには、自国で開催しているJリーグを盛り上げていく必要があると思います。
ーー大きな夢ですね。SNSでの発信は、ワッキーさんの役割だと考えながらやってるんですか?
ワッキー:まず一つ目は、Jリーグ見るのが好きだし、SNSに動画をアップしているのは、使命感ってよりも楽しいから発信してます。楽しいし、Jリーグも盛り上げられるから一石二鳥だよね。
盛り上げられているかはわかんないけどね(笑)。
ーーめっちゃ盛り上がってます(笑)。モノマネシリーズはどういう発想で生まれたんですか?
ワッキー:体調が良くなってきたから、リフティングを始めたんですよ。その動画をアップしたら、「元気になってくれて嬉しい」、「やっぱりリフティング上手いですね」とかフォロワーの方からメッセージ来たんですよ。嬉しくなって、家の横の公園にボールを蹴りに行ったんですよ。
僕、福森晃斗(コンサドーレ札幌)が好きだから、ルーティーンを真似てボールを蹴る動画を息子に撮ってもらったんだよね。
その動画をSNSにアップしたら、すごい好評だったから他の選手のモノマネもやってみようかなと思ってシリーズを始めました。
ーーなるほど。最初は、モノマネシリーズとかではなく、福森選手の特徴を真似たのが始まりなんですね?
ワッキー:そうなんです。でも、その次からモノマネシリーズとしてやり始めましたよ(笑)。
ーーこれ流行るなぁって思ったんですね。
ワッキー:うん、モノマネやってて面白いんだよね。コメントとかも来るからすごい励みになります。
ーー面白いですよね。中村憲剛選手のモノマネは最高でした(笑)。
ワッキー:あ、喜びのやつね。(実演)
ーーそれです(笑)。あとミシャさん(コンサドーレ札幌監督)のモノマネも面白かったです!
ワッキー:「アラノ時々ヒロキ」のやつだね。本人にも見せたら本人も笑ってたんだけど、それがめちゃめちゃ嬉しかったです。
最後に浦和レッズ時代の「ウガ」も入れたりして、ちゃんとオチまで作ってたから、結構僕の中ではお気に入りのネタです。
ーーモノマネシリーズ面白いですし、選手とワッキーさんが絡んでるのもファンの方は嬉しいと思います!
ワッキー:ありがたいですね。1番印象的だったのは、片野坂監督(大分トリニータ監督)のモノマネでしたね。片野坂監督も僕の芝刈り機のモノマネを動画でアップしてくれたんだけど、それがすごい嬉しかったです。
大分トリニータのサポーターも「片野坂監督最高!!」って喜んでくれて、僕すごい良いことしてるんだなって思いました。
ーーそういう所がワッキーさんのJリーグの良さってことですよね?
ワッキー:そうそう。SNSで反応してくれて、それに対してサポーターがコメントしてくれるっていうのはJリーグだから出来ることだと思います。
ーーJリーグで好きなチームってどこなんですか?
ワッキー:好きなチームは作らないようにしてます。
昔は、名波と仲良かったからジュビロ磐田を贔屓目で見ていたけど、今は全チーム公平に見てますね。
ーーこれからやっていきたいこと(発信していきたいこと)はありますか?
ワッキー:もちろん、Jリーグを盛り上げることです。J1だけではなく、J2やJ3までも盛り上げられるような活動をしていきたいです。
「サッカー+お笑い」で盛り上げることが僕の使命だと思っていますね。
<後編へ続く>
後編:〜突然発覚した癌との闘病生活、その闘病生活を支えてくれた“Jリーグ”〜「僕は本当に幸せ者だと実感して、勇気をもらいましたね。」