後編:〜突然発覚した癌との闘病生活、その闘病生活を支えてくれた“Jリーグ”〜
「僕は本当に幸せ者だと実感して、勇気をもらいましたね。」
ーー中編のあらすじ
モチベーションや膝の怪我の影響もあり、大学1年生の時にサッカーから離れたワッキーさん。久しぶりに訪れた大学サッカー部の寮で、高校と大学の先輩であるヒデさんに偶然会った際、ヒデさんから発せられた衝撃の一言「俺と一緒にお笑いやらないか?」。その一言がワッキーさんをお笑い芸人の道へと連れて行った。その後、お笑い芸人として様々なテレビ番組に引っ張りだこになっていく一方で、“サッカー大好き芸人”としても大きな存在感を放つようになる。最初はサッカー番組がきっかけでJリーグの試合をガッツリ見るようになり、2017年から2019年の間はJ1リーグの全306試合をフルで見るなど、生活のほとんどをJリーグに捧げるようになったそう。その後、『モノマネシリーズ』『ワッキーチョイスオモロー』などのコンテンツを生み出し、Jリーガー、サポーターを巻き込んでの日本サッカー界の盛り上げに貢献中でした。しかし、そんな日々に急ブレーキをかけるように訪れたのが、癌の発症。病気の発覚当初、どんな気持ちだったのか、サッカーから勇気をもらったことはあったのか。後編をご覧ください。
ーーニュースなどでご存知の方も多いと思いますが、ワッキーさんが癌を発症したことについてお聞きします。癌の診断を受けた時は、どういう心境でしたか?
ワッキー氏(以下ワッキー):最初は「嘘でしょ」って思いましたね。
お酒も飲まない、タバコも吸わない、適度な運動をしている健康体の塊の僕が、癌にかかる訳がないと。
でも、最近では2人に1人が癌になるとも言われている世の中で、僕はそういう巡り合わせなんだと受け入れました。それも2、3日かかりましたが。
ーー家族や友達、周囲の方には、何と伝えたんですか?
ワッキー:奥さんやヒデさんには言えなかったけど、マネージャーさんに伝えてましたね。
ーーそうなんですね。その間は、何か不安とかはありましたか?
ワッキー:まずは、死ぬんじゃないかと思いました。
僕の場合は、喉の癌だったんですけど、最初に見つけたのは身体のどこかから転移したやつで、癌の原発が見つからない原発不明癌って言われたんですよ。
色んな病院を回っても癌の原発が見つからなくて、最後に診てもらった病院で指の触診で原発が見つかって中咽頭癌ですって診断されたんです。
元となっている腫瘍を取り除かない限りは、癌は治らないので原発が見つかって本当に良かったです。
ーーそれは不幸中の幸いという形ですね。どのような治療をしたのでしょうか?
ワッキー:癌の治療は、癌の腫瘍を手術で取り除く方法と放射線化学療法(抗がん剤治療、レーザー治療)の大まかに2種類あります。
中咽頭癌だと、放射線化学療法が相性が良いらしく、その治療法で無事、癌に打ち勝つことができましたね。
ーー何年くらい闘病生活は続いたんですか?
ワッキー:入院は2ヶ月して、治るまでには1年とちょっとくらいかかりましたね。
ーー抗がん剤の副作用とかはありましたか?
ワッキー:はい。特に抗がん剤はきつかったですね。個人差はありますけど、僕の場合は吐き気とかが続いてかなりきつかったです。
ーーなるほど。後遺症とかはあるんですか?
ワッキー:ありますね。喉が元通りには戻らないんですよ。唾液が通常の2、3割しか出ないから喉がすぐ乾いたり、味覚も以前の5割程しか感じなかったりしてます。
ぶっちゃけ、その2つが1番つらいですね。
なので、ある意味闘病生活はまだ終わってはいないのですが、ネガティブに考えると気分も落ち込んでしまうから、僕は闘病生活は終わったと思っています。
ーー後遺症が治る可能性もあるんですか?
ワッキー:治る可能性もあれば、そのままの可能性もありますね。どちらの可能性もあると思いながら生活はしてます。
ーーそうなんですね。サッカーの力が闘病中のワッキーさんの後押しになったと思いますか?
ワッキー:それはもうめちゃくちゃ後押しになりましたね。それこそJリーグが助けてくれたと思っています。
入院してる時に、浦和レッズの槙野がLINEで動画を送ってきてくれたんですよ。
その動画には、キングカズさん(三浦知良選手)やJ1のほとんどの選手からの応援メッセージが入っていましたね。
最後には、イニエスタ選手の「ジャッキーがんばってね!」って完璧なオチもある動画だったの(笑)。
本当に心から「ありがとう」って言葉で胸がいっぱいでした。
これは、外向けに発信した方が良いと思ってSNSで拡散したら、かなり反響がありましたね。
他には吉田麻也が、当時の代表選手たちが寄せ書きした代表のユニフォームを送ってきてくれたんですよ。その時、僕は本当に幸せ者だと実感して、勇気をもらいましたね。
ーー選手からも愛されていますよね。ワッキーさんと選手との関係性、凄くいいですね。
ワッキー:本当にありがたいことだと思います。
その分、僕もJリーグを愛しているんです。沖縄やタイでキャンプがあったりすると、自腹で見に行ったりするんです。現地まで実際に行って、選手と話をして仲良くなっていましたね。
タイの山奥で行われたキャンプまで見に行った時は、自分でも頭おかしいと思ってましたね(笑)。
ーーすごいですね(笑)。選手たちも驚いていたんじゃないですか?
ワッキー:驚いてましたよ。「ワッキーさん、なんでいるの?」、「仕事ですか?」って言っていましたね。
もちろん「趣味です!」って答えました(笑)。多分、選手たちは引いていたと思うね。
そんなこともあって、選手の友達が多くなっていきました。Jリーグで点を取ったりしたら、「ナイスゴール」って伝えたり、SNSを通して関わることで、交流を深めていますね。
ーーその関係性の構築はやっぱり、ワッキーさんだから出来ることですよね。
ワッキー:そうなのかなぁ。でも素直に嬉しいね。
ーーワッキーさんって、Jリーグの公式YouTubeにも出てますよね?
ワッキー:出てますね。Jリーグ側から依頼があって出演しました。それもね、楽しくやらせてもらっています。
2019年シーズンが終わった後の「JリーグTV」は本当に必見なので、色々な人に観てもらいたいね。2019年シーズンのベストゴールやベストセーブ、ベスト11、後はベストオモローなどを何本かに分けて、僕がタキシードを着て紹介してます。
この動画も、僕が趣味でやっていたことをJリーグ側が見つけてくれて、「コラボしませんか?」ってことで、仕事に繋がっていきましたね。
ーー繋がりってすごいですね。解説とかには興味はないんですか?
ワッキー:解説はやりたくないですね。行ってもゲストまでです。
解説は元プロの人やライセンスを持っている人がやるべきだと思ってます。
ーーあくまで試合後のまとめや面白いポイントといった所で貢献していきたいんですね。
ワッキー:そうそう。サッカーやってたから、選手の個人的なプレーに関しては評価することが出来るけど、基本的に、戦術とかには触れないですね。
それは、プロの人達がやることだと思うので、僕は違う視点で貢献していきたいと考えています。
ーー最後に、皆さんにお聞きしている質問です。「あなたにとって、サッカーとは?」
ワッキー:ワッキーを創り上げてくれた土台です。そして、一生離れられないものです。
<完>
中編:〜芸人へなるきっかけのエピソードから、サッカー大好き芸人としてJリーグを盛り上げる活動に迫る〜「『サッカー+お笑い』で盛り上げることが僕の使命だと思っていますね。」