Jリーグ今季注目選手!
冬の風物詩である高校サッカー選手権も終わり、いよいよJリーグ各クラブが2023年シーズンに向けて本格始動します。
昨季タイトル奪還を果たした横浜F・マリノスはMVPの岩田智輝がセルティックへ移籍し、2019年のMVP仲川輝人もFC東京に新天地を求めました。
そして最終節までタイトルを争った川崎フロンターレも2022年カタールW杯代表の谷口彰悟がアル・ラーヤンへ移籍。
逆に4位に終わった鹿島アントラーズは2018年ロシアW杯代表の昌子源、植田直通が復帰。
各クラブともに変革の時期を迎えています。こうした中、今季躍進が期待されるタレントは一体誰なのか。2026年北中米W杯を目指す第2次森保ジャパン入りもあり得そうな6人をピックアップしご紹介します。
浦和レッズMF:伊藤敦樹
リカルド・ロドリゲス監督体制で挑んだ昨季、J1優勝を目標に掲げながら、浦和レッズは9位に沈みました。
AFCチャンピオンズリーグこそ決勝に勝ち進んだものの、チームとして不本意な状況だったのは確かです。
そこで今季はマチェイ・スコルジャ監督を招聘して新たなスタートを切りましたが、新加入選手は今のところ復帰組の興梠慎三、荻原拓也を含めても数人だけ。
今後さらに補強はあると見られるが、現有戦力の奮起は必須となっています。
そこで期待が高まるのが、大型ボランチの伊藤敦樹。
昨季は岩尾憲と並んでボランチの主力と位置づけられ、28試合出場4ゴールと攻撃面でインパクトを残しました。
アグレッシブに前へ前へと突き進む姿勢は、かつての稲本潤一を彷彿させるところがあり、その先人のようにスケール感が魅力で、近い将来の代表候補とも目されています。
ただ、代表ボランチには遠藤航、田中碧らがいて、若い世代にも藤田譲瑠チマら候補者がいます。
そこに割って入るためにも伊藤はよりダイナミックに、かつ高い強度で90分間プレーし続ける必要があります。
強烈な存在感を示し続ければ、必ずチャンスは巡ってくるでしょう。浦和の躍進の原動力になることがまず重要な一歩と言えます。
横浜F・マリノスFW:植中朝日
仲川輝人、レオ・セアラと攻撃陣の重要戦力が去った王者にとって、21歳の伸び盛りのFW植中朝日の加入は大きな希望です。
2020年に加入したVファーレン長崎では、2年目の2021年に10ゴールをマーク。
その時点でもJ1からのオファーがあった模様だが、本人は長崎のJ1昇格に注力。2022年は28試合出場5ゴールという実績を残したものの、チームは惜しくもJ1昇格を逃しています。
彼自身も愛着のある長崎を去ることは苦渋の決断だったに違いないですが、パリ五輪のアジア予選に当たるAFC U-23アジアカップ予選が9月、アジアカップ本大会が年末から年明けにかけて行われる見通しの今季はさらなる飛躍が必須です。そこで本人もJ1最高峰クラブへの移籍を決断したと見られます。
ケヴィン・マスカット監督にとっても、手薄になった前線の穴埋めとして期待の大きい人材です。
植中はレオ・セアラが担っていた最前線にも入れて、マルコス・ジュニオールや西村拓真が入っていたトップ下でもプレーできます。
植中がトップ下に入って、西村が最前線に上がるといった形も考えられます。
さらにはドリブルやチャンスメークもできる植中はサイドでの起用も可能性は高く、宮市亮の完全復活にもよりますが、より幅広い仕事を託されそうです。
そこで目覚ましい数字を残せれば、存在感は一気に高まり、パリ世代の重要なアタッカーに名乗りを挙げることも可能でしょう。
JFAアカデミー出身で昨年のEAFF E-1サッカー選手権で初めて日の丸を背負った小池龍太も近くにいるだけに、先輩に追いつけ追い越せで頭角を現してほしいところです。
川崎フロンターレFW:宮代大聖
川崎アカデミー育ちで、10代の頃から点取り屋としてのポテンシャルの高さを評価されてきた宮代大聖。「柳沢敦に似た万能型FW」と将来を嘱望され、久保建英らとともにAFC U-16選手権、FIFA U-17ワールドカップも戦ってきました。
しかし、2018年にトップ昇格した川崎には小林悠やレアンドロ・ダミアンらがいて、試合出場を得られませんでした。
このため、2019年後半戦はレノファ山口、2021年には徳島ヴォルティス、昨季はサガン鳥栖と3度のレンタルを経験。徳島で7点、鳥栖で8点をそれぞれマークして、J1で十分に結果を残せると認められ、ついに川崎で勝負をかけることになりました。
今季の川崎は知念慶が鹿島へ移籍。ダミアンも負傷が長引いており、FWがやや手薄になっていて、桐蔭横浜大学で実績を残したアカデミー同期の山田新との競争も強いられますが、宮代がエースに躍り出る可能性もゼロではありません。
同い年の中村敬斗がオーストリアで今季ブレイクし、上月壮一郎がシャルケとの契約を勝ち取るなど、欧州で活躍している仲間が少なくないだけに、彼も早く遅れを取り戻したいところ。3年後のW杯の挑戦権を得るためにも、今季が正念場です。
サガン鳥栖FW:横山歩夢
AFC U-20アジアカップ、FIFA U-20ワールドカップが控える2023年は2003年生まれ以降のU-20世代のさらなる底上げが期待されるところ。すでに松木玖生がFC東京で定位置を確保していますが、それに続く選手が続々と出てこなければ、日本サッカー界のさらなる成長は見込めません。
そこで注目されるのが、今季からJ1に参戦する横山歩夢です。
2021年に東海大学付属高輪台高校から松本山雅入り。卓越したドリブル技術とスピードを売りにいきなり開幕戦・レノファ山口戦でプロデビューを飾り、序盤戦だけで10試合以上に起用されています。
しかし、指揮官が柴田峡監督から名波浩監督に代わると出番がなくなり、チームのJ3降格を黙ってみているだけになってしまいました。
ですが、2022年は若返りを前面に押し出した名波体制の山雅で大黒柱と位置づけられ、ゴールラッシュを披露。
U-19日本代表にも入り、5~6月のモーリスリベロトーナメントでは世界基準を体感し、そこからはやや得点ペースが鈍ったものの、強引に局面を打開し、シュートを打ちに行く姿勢を示し続け、大きなインパクトを残しました。
そして今季は2階級昇格した鳥栖で勝負を賭けることになります。ここでもコンスタントに結果を残せれば、海外移籍、パリ五輪、A代表も見えてくるでしょう。「ネクスト前田大然」の評判通り爆発的成長を遂げてほしいものであります。
鹿島アントラーズFW:垣田裕暉
鹿島OBの父を持ち、鹿島アカデミーから2016年にトップ昇格した垣田裕暉。ですが、プロ2年目からはレンタル生活に突入。ツエーゲン金沢で3年、徳島で2年、鳥栖で1年を過ごし、実績を積み重ねてきました。
2020年の徳島ではJ2で17ゴールを挙げるなど、傑出した数字を残し、「いつ鹿島に戻るのか」と言われ続けてきましたが、鈴木優磨や上田綺世、エヴェラウドら外国人選手の壁に阻まれ続けてきました。
しかし今季は鹿島復帰が叶い、本人も闘争心を燃やしているはず。
上田とエヴェラウドは去ったものの、鈴木優磨、エレケ、知念慶、染野唯月とFWのライバルは依然として多い中で、どんな違いを見せるのか。
まずは187cmの長身を生かしたヘディング、ドリブル突破や走力を駆使した守備などを積極的に見せつけ、エースに躍り出てほしいものです。
97年生まれの垣田は今年26歳。日本代表入りを目指すとしたら、このタイミングを逃してはならない年齢です。
第2次森保ジャパンが発足する今季は指揮官もさまざまな選手をテストするでしょう。
特にセンターFWは絶対的な存在が不在なだけにチャンス。6年間の下積み生活で培ったタフなメンタルと野心を今こそ見せつけてもらいたいです。
セレッソ大阪FW:加藤陸次樹
昨季からセレッソ大阪で杉本健勇や大久保嘉人が背負ってきた20番をつけ、FWの大黒柱に君臨したのが加藤陸次樹。「あいつは可能性がある」と大久保に言わしめる点取り屋はセレッソ3年目となる今季に賭けているに違いありません。
原口元気を輩出した江南南サッカー少年団出身の彼はサンフレッチェ広島ユースを経て中央大学へ。
そして入団テストを受けて2020年に金沢でプロキャリアをスタートさせた苦労人です。ですが、その金沢で持ち前の得点感覚を開花させ、J2で13ゴールをゲット。その活躍をセレッソに認められ、1年で個人昇格を果たしました。
そして大久保の現役ラストイヤーとなった2021年にJ1で7得点を挙げ、存在感を示しました。背番号20を受け継ぐことになったのも、Jリーグ最多得点記録を持つ偉大な先人から才能を認められたからでしょう。
2022年は昨年に続いてYBCルヴァンカップ決勝に進み、彼自身が先制弾を叩き出しながら、チームは逆転負けを喫し、またも頂点に手が届きませんでした。
その分、「自分がチームにタイトルをもたらさなければいけない」と強く思ったはず。そのためには、2ケタゴールはノルマとなります。
今季はレオ・セアラや藤尾翔太の加入もあり、前線争いは激化しますが、彼らしい泥臭さでセレッソの看板FWに君臨してほしいです。