今年のプレミアを制したのはマンチェスター・シティ
マンチェスター・シティがプレミアリーグ優勝。こんなニュースも近年ではもう聞き慣れてしまった、という方も多いと思います。通算7度目(プレミアリーグとなってからは5度目)の優勝が決まり、ここ4年間で3度目の栄冠に輝いています。
しかし今シーズンは、彼らにとって決して平坦な道のりとはいえなかったでしょう。
スタートダッシュに失敗したチームは、一時は11位に低迷するなど深刻な不調に陥ってしまいます。
主力が次々と怪我や新型コロナウイルスによって離脱したこと、レアル・ソシエダへと移籍したダビド・シルバの穴埋めに苦しんだことなど原因は様々思い浮かびますが、常勝軍団の彼らにとっては異常事態とも言えるシーズン序盤でした。
シーズン開始早々、優勝を諦めたファンも一定数いたことでしょう。しかし蓋を開けてみれば、シティは2位のマンチェスター・ユナイテッドに10ポイント差をつけ、2月下旬からは一度も首位の座を明け渡さずにリーグ優勝。
バルセロナやバイエルンでも数々のタイトルを獲得してきたグアルディオラ監督も、「今シーズンの優勝は決して忘れることはないだろう。」と語るほど印象的なシーズンとなりました。
ルベン・ディアス獲得によって復調
この大逆転劇の立役者は、間違いなく今冬にベンフィカから加入したルベン・ディアスでしょう。
DFとしては破格の移籍金6200万ポンド(95億円)でチームに加わったポルトガル人は、加入後すぐにチームの弱点であったDFラインを支える存在として活躍。
体を張った守備と強烈なリーダーシップでチームに安定感をもたらします。その活躍に刺激を受けたのか、これまで本領を発揮できずにいた同僚のジョン・ストーンズが復調、二人は絶対的なセンターラインのコンビとして定着します。
ワールドクラスのDFであるエメリク・ラポルテやオランダ代表のネイサン・アケなどの実力者たちが控えに回るなど、今までウィークポイントだったはずの守備陣はあっという間に最大のストロングポイントに。
ディアスに至っては、出場したリーグ戦30試合のうち19試合でクリーンシートを達成するなど、早くもプレミアリーグ年間最優秀選手の最有力候補として注目されています。
こうしたDFラインの安定感に感化された攻撃陣において、特に好調なのがドイツ代表イルカイ・ギュンドアンです。
キャリアハイとなる得点記録を更新し続け、2021年に入ってからは、一時あのメッシよりもハイペースで得点を重ねていました。
更に、そうした経験豊富な選手たちにも負けず劣らずの躍動ぶりを見せる20歳のイングランド代表フィル・フォーデンは、チャンピオンズリーグ準々決勝のパリ戦で1stレグ、2ndレグの2試合でゴールを決めるなど飛躍の年となっています。
(ちなみに、20歳以下でチャンピオンズリーグの準々決勝2試合でゴールを決めた選手は、史上2人目。もう1人が誰なのか、みなさんわかりますか?)
こうしてチーム全体としての成熟度を増したチームは、遂にクラブ史上初のチャンピオンズリーグ決勝へと駒を進めています。
念願のチャンピオンズリーグ優勝、そして今シーズン限りでクラブを退団することが決まっているアルゼンチン代表セルヒオ・アグエロに花を持たせるという意味でも絶対に負けられない戦いです。
とどまることを知らないマンチェスター・シティの勢い。チェルシーとの同国対決となったチャンピオンズリーグ決勝を制することができるのか、注目です。