後編:〜これからのビジョンと挑戦したいこと〜
「(ジェルやワックスなど)プロデュースはしていきたいなって思ってます」
ーードイツからいつ日本に帰ってきたんですか?
林勲氏(以下、林):2010年。33歳の時ですね。
きっかけは、子どもが小学校に入るタイミングっていうのと、ドイツで8年お店やって、そろそろ日本でも(お店を)やりたいなということで。
ーー今もドイツにお店はあるんですか?
林:ありますね。今も行き来してます。コロナの影響で少なくなってはいますけどね。
ーーこれからドイツ以外のところにもお店をオープンする予定はある?
林:海外の進出はあまり考えてなくて、都内にあと2店舗くらいは出したいなっていうのはありますね。
ーー日本の店舗に来るお客様はどんな方が多いんでしょうか?
林:サッカー好きの方も多いし、僕のお客さんでいうとドイツの時のお客さんがすごい多いですね。ドイツの時に知り合ったお客さんが日本に帰ってきてからも切りに来てくれているっていうのが多い気がします。
ーーちなみにバランススタイルに通ってくれているお客様もいますか?
林:いますいます。バランススタイルのお客さんがウチに来たのか、ウチのお客さんがバランススタイルに行っているのかはよくわからないですが(笑)。
でも、ウチでいったらバランススタイルを知らないメンズはあまりいないと思いますね。
BALR.の服を着てウチに来るお客さんもいるので、「あ、この人(バランススタイルに)行ってるな」って思うこともあります(笑)
ーー噂によると、じゅんいちダビッドソンさんも来ているって本当ですか?
林:それは本当です。R-1で優勝する前から来てくれていますね。もう4年以上来てることになりますよ。
ーー時期によって本田選手の髪型も違うと思うのですが、じゅんいちダビッドソンさんはどういう風にオーダーしているのでしょうか。
林:一番最初は、皆さんが想像している本田選手の髪型にしました。それから新しいバージョンになった時に、1回2回やったんですけど、やっぱり人によって似合う似合わな胃があるので、じゅんいちさんには元々の方が合うよねって話して定番の髪型にしてますね。
林:多いですね。本田選手や槙野選手の髪型をオーダーする方が多いんじゃないかなと思います。
ーー(本田選手も槙野選手も)ジェルを付けてるイメージがありますが、みなさんそういう髪型が好きなのでしょうか。
林:そうだと思います。でも、僕がそういう髪型になるように切ってるから勝手にそうなったのかな。どうなのかはよくわからないですけど。
ーー美容室で髪を切るだけではなくて、ジェルとかヘアオイルとかをプロデュースしている美容室も増えているよね。
林:増えてますね。
ーー選手たちの髪型は、ワックスやジェルのイメージがありますが、サッカー選手の髪型が再現できるものが欲しいっていうお客さんも結構いますか?
林:いますね。いますし、ウチはジェルがものすごい売れます。みんな欲しがっているのだと思います。
ーー(ジェルやワックスなど)そういうプロデュースも今後はしたいと思っているのでしょうか。
林:プロデュースはしていきたいなって思ってますよ。それは、自分が使いたいものを作りたいというか。売る売らないよりは、使いたいなーこういうのっていうのを見つけたいなっていう感じですね。
ーー今ある既製品の中には、選手たちにこれが合うっていうのはまだないのでしょうか?
林:いや、これっていうのはずっとあったんですけど、やっぱりさらに合うのを出さないといけないと思いますね。そのさらにっていうタイミングがそろそろ来てるなというのは感じます。
ーー20年間の選手を切ってきた経験と知識が直に表れる商品が現れるかもしれないということですね。
林:そうですね。現れるかもしれないですね。
ーー20年間サッカー選手を切ってきて、サッカー選手が自分をプロデュースする傾向は強くなっていると思いますか?
林:はい、思います。思うんですけど、全体の人数からすると割合は少ないように感じますね。中田選手はその時代にそんな人はいなかった。本田選手もまだそういう人が少なかった。それを見てきた選手たちが、なんとなくのプロデュースしているなっていうのは見えてます。でも、その二人みたいに思いっきりプロデュースできる人が出ていているかって言ったら出てきていないなと思うんです。
ーーいろんな選手を切ってきたと思いますが、その二人(中田英寿さんと本田圭佑選手)はやっぱり違いますか?
林:違いますね。良い意味で頑固だったり、ゴールをちゃんと見てたり。自分がどう見られていかのこだわりが最初は強かったと思うんですけど、自分がやりたいことが明確なんじゃないかなと感じますね。「サッカー界のために」って考えていると思います。
リクルート編:〜美容師としての勝ち方を教えたい〜
「僕らの業界って人を幸せにできる仕事なので、すごいやりがいがある」
ーー今Ambestenで働いている方たちのマインドはどんな方が多いのでしょうか。
林:今働いている子たちは、僕がわけわかんないことをやるので、大丈夫かっていう不安な部分と、この人についていけばなんとかなるんじゃないかっていう部分とで、悩んでいる子が多いと思います。
ただ、いつも社員に言っているのは、他と同じことをやっても何も目立てないということ。頭ひとつ出るだけで、相当数字的な部分だって違うし、給料だって違うよって伝えています。でも、頭ひとつ抜ける努力がなかなか難しいものなんですよね。
とんでもないことをやるのではなくて、頭ひとつだけ出ればいいだけで、まずはそこを出たら勝ち方を学べると思います。
その勝ち方を教えたいんですけど、頭ひとつ出る努力をしてもらわないと、教えることはできません。
ーー志望してきてほしいのはどんな方ですか?
林:お客さんのために一生懸命やれる子、もしくは給料ちゃんといっぱいもらって成り上がりたい子ですね。
でも、この二つって本当はイコールで繋がっているんです。お客さんのためにってやってて給料もらえてない子もいれば、お金お金でお客さんのためにやってない子がいたりもします。それが両方繋がっているということに気づいてない人が多いなと思ういますね。
ーーサッカーやってた子で美容師になりたい子とかもいますか?
林:いますいます。ウチの美容師にも、(栃木県の)佐野日大高校のサッカー部でサッカーやってた子いますよ。
ーー美容師を目指している方へのメッセージ
林:僕らの業界って人を幸せにできる仕事なので、すごいやりがいがある。もちろん、修行という大変なこともありますけど、それさえクリアすれば一生人のために働けるっていう仕事で、自分がやって自分が活躍できる仕事なので頑張って欲しいです。
ダイレクトに、その人を幸せにするってだけの話ですからね。タレントさんは少し違うじゃないですか。見えない人たちに気に入られないといけないので。僕らはお客さんを大事にすれば大事にするほどお客さんも増えてくれるので、そこは美容師特有ですね。
あとは、時代的に5年持つお店が2割って言われてて、そう考えると働き方もすごい変わっているのを感じます。技術がすごい人でも、お店を持つだけじゃなくてどっかに所属して働くっていうスタイルはどんどん増えるだろうなって感じますね。
<完>
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前編:〜サッカー選手の髪を切るようになるまで〜「一番最初に髪を切ったサッカー選手は中田英寿さん」
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中編:〜世界を飛び回る美容師にしか見えない裏側〜「ワールドカップ期間中、選手たちのピッチで見せない顔とか、メディアに見せない顔、家族にも見せない顔も見てると思います」
店舗紹介
『Ambesten 代官山』
Ambestenとは、 ドイツ語で『最高の、最上級の』という意味。 最高の仲間達と、 心に残る最上級のおもてなしを提供している美容室です。
住所/東京都渋谷区猿楽町28-10モードコスモスビル2F
電話番号/03-3462-1158
公式サイト/https://www.ambesten.jp/
『Ambesten Düsseldorf』
Ambestenの一号店。ドイツのデュッセルドルフに店舗を構えており、現地の方々はもちろんのこと、ドイツ在住日本人からも愛される美容室です。
住所/Klosterstr. 62,40211 Düsseldorf
TEL/0179-7624023